手形は、例えば物品の売買の際の代金の支払をその時に現金で支払うのではなく、一定期間経過後に支払うために手形の振出人が受取人に対して額面や満期日などの必要事項を記載して署名押印して交付することで成立する有価証券です。この手形は、満期日までまって支払を求めることもできますが、それ自体に財産的な価値があるため受取人がさらに第三者へ裏書して手形を交付することが想定されています。では、このような裏書を行う場合の受取人の記載について注意すべき点はどのようなことでしょうか。
まず、裏書する際に受取人について記載しないという選択肢もあることを押さえておきましょう。白地式裏書といわれますがこの方法をとることにより、この手形の裏書を受けた者は、自己の名前を補充せずに、さらに次の者に手形を交付することで手形上に自己の名前が残らず、手形が不渡りとなったときの担保責任である遡求義務を免れることが可能となるからです。
次に、記載する場合には裏書の連続という点に注意する必要があります。手形は転々流通する性質ですので裏書が連続していることに権利者である形式的資格を授与し何ら立証せずとも手形金が請求できる取扱いとしています。実務的には被裏書人欄については会社名だけでよいので正確に書く必要があります。また判例上は受取人欄が社名と代表取締役の氏名のみを記載したものについて裏書人が社名代表取締役氏名という記載となっているものに連続性を認めていますが紛らわしい記載を避けるように注意する必要があります。
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