証券関連の法律用語としての「指図」は、証券上の記載によって、ある特定の人を債権の弁済受領者として指定することを意味します。手形の裏面には「表記金額を下記被裏書人またはその指図人にお支払い下さい。」という裏書文句がありますが、この中にある「指図人」とは、債権の次の弁済受領者、すなわち次の被裏書人のことです。
「その」とは、手形の裏書譲渡を受けた債権者である「下記被裏書人」のことですから、「その指図人」とは、「下記被裏書人」がお金を受け取れる権利者として指定する次の被裏書人、つまり債権者のことを言います。わかりやすく言えば、指図する人ではなく、この人が弁済を受けることができる権利者であると、債務者に対して指図(指定)される人です。
なお、「指図人」の意味は手形の種類によって変わってきます。為替手形においては、手形を振り出す振出人が、債務者として支払いを行う名宛人に対して、この人がお金を受け取れる権利者であると指定する者のことです。約束手形の裏書文句に記載されているものとは、まったく意味が異なります。為替手形は三者間取引であり、為替手形における指図人は、二者間取引の約束手形には存在しない概念です。
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